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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第6章 運命の番(過去編)1


ピアノの曲に乗せて歌を奏でる…アメイジンググレイス。私が好きな曲だ。オペラ歌手に教えられたように澄んだ歌声を二人にも届くように伝える。最初はかなり驚いていたが、直ぐに聞き惚れるように聞き耳を立てていた。

ーーー。

何曲かをピアノに乗せて歌った私に、大絶賛で拍手喝采を送られる。世辞は沢山聞いて来たが、真っ直ぐであり純粋な褒め言葉を貰ったのはいつぶりだろうかとついつい照れてしまう。その私の姿すら悶えられる対象になるのか必死にΩの匂いを出さないように頑張っていた二人を見て、大変そうだなと他人事に感じていた。相変わらず研二くんは両手で顔面を覆って天井を見上げ、陣平くんはグランドピアノに顔を伏せてベシベシと叩いている。あの…一応高価な物だから壊さないでね?と二人を交互に見ていた。

ーーー。

「お兄さん方は夕飯まだですよね?」
「まさか…春枝ちゃんの手作り!?」
「まだ食ってねぇけど…作ってくれるのか?」
「え、えぇ…お口に合うかは分かりませんが、家まで送って貰いましたし。お礼になるかは分かりませんが…」

私は髪を結びキッチンへ向かうと、エプロンを手に取り腰と首へ結ぶ。冷蔵庫から野菜などを取り出し袋から今日の夕飯をなににしようかと選んだ。

「洋食、和食、中華どれがいいですか?」
「洋食」
「和食」

研二さんは洋食、陣平さんは和食を選んだ。同時にいった別々の言葉に目をきょとんとさせる、ピタリと二人は硬直して喧嘩腰で睨んだ。

「やっぱ夕飯は和食の方がいいだろ、和食にしろ」
「俺は洋食が食いたいんだよ、洋食のほうが絶対いいって」

和食、洋食、和食、洋食、和食!洋食!そんなヒートアップする和食、洋食の口論に耳が痛い。

「分かりました!今日は鮭にしましょう!」
「鮭…つーことは和食か?」
「うぅ。そっか…和食かー」
「いいえ?洋食、和食…両方作りますよ?」

鮭の切り身を冷蔵庫から取り出しながら、アルミホイルを広げて今日は鮭のムニエルと鮭のゴマ味噌風味を作ろうと思う。添え物にはサラダにスープ。やはり和食は味噌汁。洋食はコーンスープに限るだろう…後はご飯を添えればいいくらいだろうか。

「お客様ですから、ゆっくり寛いで下さいね?」
「え、いや…手伝うよ?」
「あぁ、全部任せるのは悪いしな」
「!…お二人って、やっぱりモテるでしょう?ちょっとキュンと来ました」
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