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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第6章 運命の番(過去編)1


私が出した答えについて、松田さんはと言えばぐっと口を閉ざす。そして少し乱暴に頭をかくとまた私を見下ろして来た。

「分かった、その番候補で手を打ってやるよ」
「松田さん…っ!」
「陣平」
「へっ?」
「萩原のことは名前で呼んで、俺は名字なのは不公平だろ…それに俺も春枝と呼ばせて貰うからな」

そんなむちゃくちゃな…そう苦笑いを浮かべる私に、くしゃくしゃと優しく頭を撫で回される。穏やかで優しさを含んだ瞳でサングラス越しに見つめられて、ドクンと胸が高鳴りじわじわと頬が赤くなる。研二さんとはまた違うΩの匂いにくらくらした。

ーーー。

また別の日。少し親しくなって緊張もしなくなったある日の夕方、夕飯の買い物をし終わった帰りの時、スーパーの袋を手に持つ私が家まで帰っていた時だ。自動車が私の近くへ寄って来て止まった、軽いクラクションが何度か鳴りフロントドアガラスが下へ下がり開く。そこには最近良く見るお兄さん二人がいたりした。運転席には松田陣平さん、助手席には萩原研二さんがいる。

「お二人は暇なんですか?」

つい、本音をぶつけてしまった。車から顔を出して嬉しそうに降りて来た研二さんは私に抱き着こうか迷っていたが、未成年の私に抱き着いたら通行人がいる手前では通報されるだろうし運転席では手錠を片手に睨みを効かせる陣平さんもいた為なんとか我慢して見えた。優しさなのか、私が逃げられないようにするためなのかは分からないが、あざとく微笑み私の手荷物をスマートに研二さんが片手で持つと、後部座席に乗せようとドアを開ける。無言の圧力を感じて私は圧されるまま後部座席に乗る。隣には私の荷物も置いてあり、助手席に乗った研二さんはデレッデレでゆるゆるな顔で私の方に顔を向けた。

「明日は非番だから春枝ちゃん構って?」
「俺は萩原がまたお前を襲う可能性があるから見張りで来た」
「春枝ちゃんが本当に嫌がることはしねぇよ!というか、素直に会いたかったくらい言えよな!」
「うるせぇよ」
「いったぁっ!」

運転席でタバコをふかしていた陣平さんは、べシッと研二さんの頭を叩く。痛そうに研二さんは私の方を向いたまま情けない声を出した。

「春枝ちゃーん…松田がいじめるよぉ…慰めてー…」
「あぁ゙?」

陣平さんの声に私までもビクリと肩を揺らしてしまったのは仕方ないと思う。
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