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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第21章 運命の番(過去編)0


※過去捏造あり。

父親side。

ーーー。

世界中を飛び回り、商談を行い会社を立ち上げる。いつも愛娘である春枝を連れ出してというのは些か申し訳がなかったりするが…将来はこの会社を継ぐ身である。今からでもと海外へ積極的に連れ出して行った。そんなある日の昼間…仕事が一段落着いて休憩をとっている最中だった。また一時間後には商談相手のホテルへと向かわなければいけない。そう手帳と睨めっこする私に、ぽすりと足下に擦り寄ったのが小さくて愛らしい春枝である。

「お父様!助けて下さいませ!」
「おやおや…どうしたんだい、私の可愛い春枝」
「あのっ…拾ったの!」

拾った?とオロオロした様子で私のズボンにすがる春枝にきょとんとして首を傾げる。犬や猫などの動物かと思えば、彼女の後ろには血塗れの若き青少年が倒れており、使用人に丁重かつ忙しなく運ばれて来たのだ。何事かと思うも、瞬時に頭を切り替えて直ぐに救わないと手遅れになるなと主治医を呼び寄せ、治療を行った。

「春枝…因みに彼は一体どこから拾って来たんだい?」
「えっと…路地裏?」
「ろ、路地裏か…」

ふむ…やはりカタギやマフィアの人間だろうかと考えた。医師に話しによれば銃痕や擦り傷、刺傷もあったようだし。なによりそんな路地裏だなんて危ない所には行って欲しくはなかったのだが…まぁ。ベルのおかげでこの小さき少女は‪α‬性をコントロール出来るようになったようだし、良かったとは思う。

「余り危ないことに首を突っ込んじゃいけないよ?母さんが心配してしまうからね?」
「はーい…」
「だが、彼を救おうとしたのには。父さんはとても関心するな…危ないところだったのは確かだったから。偉いな」
「ふふっ…ねぇお父様。あのお兄ちゃんは大丈夫だよね?」

大丈夫かと聞かれたら、分からないとしか言えない。まだ若いから死んで欲しくはないが…瀕死の重傷だと。生きているのが不思議とも伝えられたくらいだ。優秀な医師たちを集めて、手を施しているが…何時間、何十時間経つことだろうか。

「春枝…彼を勇気づけてくれないかい?私は立ち会いたくても、仕事が立て込んでいてね…また商談へ行かなくてはいけないんだ。すまないが…お願い出来るかな?」
「分かった、行ってらっしゃい!お父様!」
「!っ…あぁ、行って来ます」
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