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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第20章 運命の番(過去編)3.5


残り3秒で切り終え、タバコを吸い観覧車から外を眺めていた。本当は死ぬつもりだった…だが生きてと愛する番に言われたら、生きたいとさえ思ってしまう。ゆらゆら、ゆらゆら…とタバコの先端が揺れ動いていた。

「あぁー…早く下、着かねぇかな」

今すぐ春枝に会いたいーー…

ーーー。

「松田くんっ!良かった!」
「あぁ…なぁあんた、頼みがあるんだが」

心配する佐藤刑事を他所に、車を出して欲しいと柄にもなく頭を下げた。運命がいる米花中央病院まで…後10分。

ーーー。

一人…整った顔をした女性が静かにシャッターの閉まった外から見守り佇んでいる。すらりと形が整い垢抜けて、日を浴びた彼女の回りはキラキラと輝いて見えた。佐藤もその美しさに目を見開いている。作り物めいた美しさのある春枝は俺の姿を確認して、息を吹き返したように笑った。

「お疲れ様です、陣平さん」
「この馬鹿っ!!どれだけ心配したと思ってんだ!!勝手に用件だけ伝えて切りやがって!!」
「あぁー…やっぱり焦りましたか。陣平さんのことを考えると、そうしたほうがいいかなとは思ったんですけど」
「お前な…全く反省してねぇだろ」
「てへっ?」
「てめぇっっ!!」

可愛らしくあざとく笑い、首を傾げた春枝に苛立ちつつも絆されてしまうのも事実で、少しは反省しろと、殴るつもりはなかったが胸ぐらを掴み殴るような雰囲気を出したがーー…彼女は俺のネクタイを掴んだまま噛み付くようなキスをした。目を見開いて文句の一つも言えない。するりと舌が器用に這い滑り込ませられ絡まった。春枝はこんなにもキスが上手だっただろうか…初めて会った時の初心な感じはなくなり、俺の方が余裕すらなくなっていることにショックを受けるがゾクゾクした。優しく腰に手を回され、ホールドするようにキスを楽しんでいる彼女にムラムラした…が今は外で、真昼間だ。色々と問題だろ。なにより周りも俺と春枝のキスシーンでキャーキャーと黄色い声を上げて騒いでおり、どんな羞恥プレイだと俺自身も顔が赤くなった。

「はっ…ん、ぁ…春枝、ぁ…ぉい…ん゙ぁっ」
「はぁ…んっ…ふふ、陣平さん愛しています」
「っ、いきなりなんだよ…」

唇を離され、告白。それにまたじわじわと顔に熱が溜まる。俺の運命はどうして…俺を振り回して喜ばせるのが得意なんだ。
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