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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第15章 運命の番(過去編)2.5


なぜと問う俺に、春枝は口を開く。あくまでも私の想像ですが…もしかすると警察側に裏切り者がいるという可能性があるからです。ただ景光さんがボロを出したという線も考えられますが、周りのことを第一に考えられて行動出来る正義感の強い貴方がそのようなボロを出すとは考えられないんですよ。だから先ず零さんが来てから、状況を判断して行動したほうが良いと思ったんです。なんて探偵のような淡々とした言葉を投げ掛けられた。そして春枝が住む家はセキュリティの万全なところで、俺の携帯から逆探知するのは無理だとも笑って言われてしまう。

「さてと…零さんが来るまでのんびりしていましょうか。お茶、紅茶、珈琲…ジュースもありますけど、どれが宜しいです?」
「あ…いや…」
「ふふ…ごめんなさい。意地悪を言ってしまいましたね?公安の人だから人が作った食べ物や飲み物は口にしない決まりでもあるんでしたっけ?」

彼女はカチャカチャとティーセットを戸棚から取り出して、鼻歌交じりに準備をし始めた。手伝うと春枝の近くへ行けば、ちらりと上を見上げられた。自然と上目遣いになりドキリとする。じわじわと頬が赤くなる俺に対して春枝は気にしていないのか紅茶の缶や珈琲の瓶、お茶の葉を見せて笑った。

「なんでしたら景光さんが作ってくれます?」
「俺がか…?作るのは構わないが、上手く作れるかどうかは分からないぞ?」
「私のいれた飲み物が全て駄目なら、景光さんが作ってくれると嬉しいです…もしも入れ方が分からないなら説明しますね?」

紅茶を飲みたい春枝はそっと紅茶のダージリンと書かれた缶を手に取っていた。俺からすれば、それはもう圧巻だった。様々なお茶、紅茶、珈琲の種類が置いてあるのだから。全て春枝が飲み、取り寄せたのだろうか…そっと割らないように珈琲の瓶を手に取って見る。匂いも様々で、豆の色合いや形、大きさも違うのは中々見ていて面白かったりした。俺がモタモタ決めかねていたら、冗談めかして春枝は笑う。

「お酒のほうが良かったです?例えば…スコッチとか?」
「春枝…」
「ふふ…ごめんなさい。あぁ…その珈琲豆はエメラルドマウンテン、そちらはキリマンジャロですね?」

丁寧な説明に、どれも美味しそうだと悩む。頬をかき困ったように笑う俺に彼女もつられて笑った。
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