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裏『探偵』αな女がΩの男達に求愛される話。

第15章 運命の番(過去編)2.5


「甘みが強いのは…これですね」
「ドミニカ カリビアン クイーン…」
「甘みを感じさせる苦味と豊かなコクはブルマンに劣らない上質な風味を醸し出します…」
「それじゃあそれにするかな」
「はい、では先ずーー…」

一度瞬きして、珈琲の瓶を見下ろした春枝は口を開くも激しいチャイム音が鳴った。更にドンドン、ドンドンとドアを叩くのは誰でなくバーボン、いや…ゼロだと直ぐに気付いた。俺は申し訳なさげに春枝を見る。春枝も俺を見上げてにっこりと笑顔を作っていた。やっぱり少し怒っている気がする…それより、彼女が春枝だと気付いていなかっただろうゼロはお構い無しにドンドンとドアを叩いているが、春枝の姿を見たら卒倒するんじゃないだろうか。機嫌良くリビングから玄関に向かうドアを開けて見に行った春枝の姿を見ていて、彼女が喜ぶことを先に進めて置こうとダージリンを手に持ち紅茶を作り始めた。

ーーー。

静かになったなと少しばかり玄関の様子が気になるが、きっと春枝はゼロをここへ案内するのは目に見えていたから待つことにする。すっきりとした茶葉のいい匂いがリビングを包む。するとドアがガチャリと開き、招き入れられるようにゼロと早い再会を果たした。俺の姿を見てギョッとして直ぐに苦々しい顔をしたゼロはため息と同じように呟く。

「心配して損した気分だ」
「いや…春枝がいなければ俺は殺されていたか自殺していた。大型バイクを乗りこなして階段を駆け上がって来た時は死んだかと思ったけどな…」
「車だと流石に階段を登れませんから、かといって走って逃げるというのは直ぐに捕まってしまいます…ヘリコプターを呼んでも良かったんですけど、いかんせん時間がかかりますし足がついてしまいますから…」

この部屋へと招かれた俺は薄々感じてはいたが、春枝はどこかのご息女なのだろう…確かに誰もが認め、神々しいくらいに圧倒される程の美女だ。流石はα性というのか、整いすぎた顔とカリスマ性を感じるのは納得出来る。だがヘリコプターはやりすぎだと思うんだ、そこに常識があって良かったと内心ほっとしていた。春枝はゼロの気持ちを知っているだろうに、のんびりとして俺が作った紅茶を見つめて口を開いた。

「お茶、紅茶、珈琲…どれが飲みたいです?」
「はっ…?」
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