第2章 中編 古代都市シャンドラ
目の前に現れたのは、血にまみれたシャンクスだった。
彼の左手に持たれる剣から滴り落ちる大量の血液。
衣服についている血は、返り血なのだろうか。
ユーリがジッとシャンクスを見上げていると、乱暴に鳥かごが開けられ捕まえられた。
開け方は荒かったが、ユーリを持つ手は優しい。
どこか怪我をしてないか心配そうに見ているシャンクス。
ユーリはそんな彼にされるがまま大人しかったが、こちらに向かってくる大量の足音に気づく。
シャンクスにここから離れるよう伝えようとするが、間に合わなかった。
「これはこれは、かのシャンドラの国王様がこんな場所に何の用で?」
シャンクスを囲むように現れた兵士達。
彼らの紋章には身に覚えがあった。
何だかんだでユーリは、この世界について学んでいた。
その中で知った、この世界の序列制度。
ユーリの記憶が正しければ、彼らは世界序列で2番目の国だ。
いくらシャンクスが強いからといっても、不利な状況なのは目に見えていた。
ユーリがシャンクスに視線を向けると、彼はユーリを頭上に放った。
「人の大切なものを盗んでおきながら、随分な言い草じゃないか」
シャンクスは剣から滴り落ちる血を振り払うと、静かに彼らを見やった。
「はて、なんのことでしょう。私たちは売られたものを買っただけですが」
「……ただ買うためだけに、これだけの兵士を連れてくるのか?随分と暇を持て余してんだな」
「…何が言いたい」
シャンクスの言葉をきっかけに、一気に空気が張り詰める。
双方の睨み合いが続く中で、ユーリはどうしたものかと頭上から見守っていた。
「生憎、おれの国はそう簡単に制圧されるほど弱くはない。それが例え、最弱の国だと言われてもな」
シャンクスの合図と共に、何処からともなく現れた家臣や兵士達。
ユーリが聞いていたシャンドラに向かっている大量の足音の正体。
それは、世界序列2位の彼らだったのだろうか。