第3章 後編 王の願い 少女の想い
「ねぇ、シャンクスならどんなルールを言うつもりだったの?」
「ん?そうだなぁ。多分あいつと同じことを言うと思うぞ」
「ルフィと?」
「あぁ。因みにロジャー船長も同じこと言いそうだ」
「ふふっ、流石家族ね」
「なんだそれ」
ユーリの言葉に困惑した彼だが、彼女がそれ以上教えてくれることはなかった。
結局シャンクスの記憶は戻らなかった。
だけどユーリはそれならそれでいいと思っていた。
過去の思い出は過去のもので、またこれから新しい思い出を作ればいいのだ。
今度は時間は限られてないので焦る必要はない。
シャンクスと途中までしか築けなかった思いを、また築いていけることが、嬉しくて幸せだった。
ここに来るまでかなりの時間を要したが、それでもまた彼と出会えて良かったと、そう思えた。
「なんでもないよ。…じゃぁ教えて、あなたの願いを。ずっと叶えたいと思っていたことを」
ユーリはシャンクスの手に触れるとその瞳を覗き込んだ。
彼女の左手に輝く綺麗な石。
その手を握り返したシャンクスは、そっとそこに口づけた。
「あぁ、そうだな。おれの願いはーーー」
ーーーーおれ達の願いは………
シャンクスの声に重なるように、二人の声も重なる。
長い年月を掛けて、この世界に平和が訪れる。
それが叶う日は、きっと遠くはないのだろう。
END
→あとがき