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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第2章 中編 古代都市シャンドラ




エミリアが来て数日。

特に変わらない日常を送っていたユーリだったが、気が付けば檻に閉じ込められ、売られていた。

檻の中に備え付けられている枝に止まり、ゆらゆらと揺れているユーリ。


脳裏に浮かぶのは、エミリアが笑顔で私を送り出している時の様子だ。
なんでも、鳥という存在がこの世界では珍しいとか。

ーーー本体は鳥じゃないのですが、いいのでしょうか

受け渡しされるとき聞こえてきた会話。

どこか他人事のように、そう思っていた。

特に焦ることもなく落ち着いているユーリ。

逃げようと思えば何時でも逃げれるから、問題はない。

そしてそれをまだ実行しないのは、シャンドラを離れるいい機会だと思ったからだ。

プルトンとポセイドンも、ここ最近姿を見ていない。

だから、ユーリもそろそろ出ていくべきだと思っていたのだ。

ーーーこのまま適当な場所まで運んでもらって、逃げますか

ユーリは布で覆われた隙間から見える景色を眺めていた。


シャンドラを離れる時、聞こえていた足音はだいぶ大きくなっていた。

恐らく今夜か明日、シャンドラは戦いに巻き込まれる。


ーーー彼は、大丈夫でしょうか


ぼんやりと思い浮かべるのは、シャンクスの存在。

ここ最近、何かと一緒に行動したがっていたが、あれはどういう意味なのだろうか。

今までは自由に飛び回っていたユーリも、少し窮屈に思うほど行動範囲を狭まれた。

いったいどんな心境の変化があったのか。

それが分からなかった。












ーーー…?


不意に聞こえてきた悲鳴のような声。

怒号が飛び交う中で、何か鈍い音が響き渡る。


ユーリが耳を済ましていると、鳥かごを覆っていた布が取り払われた。





「…見つけた」


突然光と共に現れた燃えるような赤い髪。

ユーリは呆然と目の前の彼を見ていた。



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