第2章 中編 古代都市シャンドラ
ユーリがあの遺跡に潜んでいた頃、シャンクスと同じように古代兵器を探しに来た人は多くいた。
そして何度か彼らに手を貸したこともあったし、修復目的でついていったこともある。
だけど、どれも結果は酷いものだった。
散々利用するだけして、最後には化け物呼ばわり。
ほとんどの人がそうだった。
当然向こうから仕掛けてくるならば容赦なく排除していった。
例え壊れかけでもそれだけの力が彼女にはあった。
しかし結局は無駄な時間を過ごしたことになる。
いずれ来るであろう厄災の為には、一日でも早く回復する必要があった。
だけど、そう上手くはいかなかった。
人間は信用するに値しない。
そう判断した彼女は、全てを諦めて長い間1人であそにいたのだ。
信じて手を貸しついて行くことを繰り返しても、時間の無駄だと分かったのだ。
だけどそれも、彼が来たことによってもう一度信じてみようと思ったのだ。
根拠は何もない。これはただの勘だった。
「……白い髪を持つ、金色の瞳の少女を知っているか?」
ユーリが物思いに耽っていると、突然シャンクスが口を開いた。
そっと目の前に持ち上げられると、彼の漆黒の瞳に映る小鳥。
「お前も、金色の瞳を持ってるんだな」
シャンクスのその言葉に、ユーリは僅かに硬直する。
何かを探るような視線に、正体がバレてるのではないかと心配になる。
バレることで何か問題があるのかと問われれば、何もないかもしれない。
ただ、何となく落ち着かなかった。
「おれは、毎晩見てる夢が…ただの夢だとは思えねぇんだ」
独り言のように語られた言葉。
彼の視線が、まるでユーリが何か知ってるのではと、そう問いかけていた。
ユーリは一声鳴き声を上げると、再び机の上に降り立った。
そしてシャンクスへと視線を向ければ、瞳を閉じており動かなかった。
暫く彼の様子を見ていたが、これ以上追求されることはなかった。
ーーー夢、ですか。一体どんな夢かは分からないですが、何かしら疑われてそうですね
ユーリはその場を後にすると、ベットに向かった。
彼がこれ以上話す気がないなら、考えても仕方ない。
ユーリは布団に羽を埋めると、そっと瞳を閉じた。
ーーー本当のことを話すべきなのだろうか