第2章 中編 古代都市シャンドラ
ーーーそんなに彼女を責めなくても、邪魔であれば私が出ていきますよ?
ガシッ
王女から解放されたユーリが窓から飛び立とうとした時、今度はシャンクスに捕らえられた。
一応加減はしてるようで損傷はしなかったが、王女といいなぜ私はこうも鷲掴みされるのだろうか。
ユーリは首を傾げながら、彼の手の中で大人しくしていた。
すると、王女が部屋から出ていったのか、辺りが静寂に包まれる。
ユーリはシャンクスから解放されると、近くに止まった。
開いていた窓は何時の間にか閉められている。
「……なぜ、出て行こうとした?」
ユーリが窓を閉めるなら鍵も掛けたほうがいいのではと思っていると、シャンクスから話しかけられた。
視線を向ければ、何とも難しい表情をしている彼と目が合う。
ユーリは彼の問いかけに先ほど思っていたことを伝えるが、果たして伝わったのだろうか。
何気に今朝のことも聞かれて、ユーリは返答に困り果てていた。
彼からの痛い程の視線を感じて、ユーリは居心地が悪くなりピョンピョンと跳ねてどうしたものかと頭を悩ませる。
「……はぁ」
すると、シャンクスからため息が聞こえてきた。
ドカリとソファーに座った彼。
何か思い悩んでいるのか、天井を仰ぎ考え込んでいた。
「……お前は、誰なんだ?」
ユーリはそんなシャンクスに近づくと、不意に伸びてきた手。
そっと羽を包み込むように置かれた手に、ユーリは大人しくなる。
ーーー誰…とは、私の本来の姿のことでしょうか…?
シャンクスが古代兵器を探していることは知っている。
そしてそれを隠して近くにいるのも、分かっている。
まさか彼は何か気づき始めているのだろうか?
ありえないと思いつつも、ユーリはこの状況をどうしたものかと悩んだ。