第2章 中編 古代都市シャンドラ
日が暮れる頃、ユーリはシャンクスの部屋に戻った。
そして何時ものように窓枠に止まり、街並みを眺める。
すると、背後から舌打ちのような声が聞こえてきた。
「なんであなたがここにいるのよ」
ユーリが振り返ると、そこには今朝会った王女の姿。
彼女の言葉にユーリは首を傾げる。
なんとなく彼女が不機嫌なのは分かったが、何故それがユーリに向けられるのか分からなかったのだ。
「ここは彼の部屋よ、出て行きなさい!」
ーーーあっ
見つめ合うこと少し、急に近づいてきたかと思うと鷲掴みされた。
かなりの力で掴まれた為か、羽から鈍い音が聞こえる。
ーーーあぁ、折角修復していたのに。これで-0.002%減ったでしょうか
ユーリは目の前の王女を見ながら、冷静に今の状況を分析していた。
減少した数値はたいしたことないので、どうでもいいと言えばどうでもいいのだが。
ガチャガチャと窓を開けようとしている彼女は、恐らく私を窓から放り出そうとしているのだろう。
そんなことをしなくても、掴んでいる手を離してくれればここから出ていくのですが…
「……何をしている」
窓が開き、王女が鳥を掴んでいる手を振りかざした瞬間、聞こえてきた声。
地を這うような声に、王女はその場に固まる。
「えっ…?こ、この鳥が部屋を荒らしていたから追い出そうとして…」
「へェ、何処も荒れていないように見えるが?」
淡々と言葉を発しながら近づいてくるシャンクス。
彼の表情からは、はっきりとした怒りが見て取れた。
ユーリは2人の間に挟まれ、これは一体どういう状況なのだと考えていた。
すると、シャンクスから出て行けと言われた王女。
その言葉に泣きそうな表情を浮かべて、何か弁解をしている。
しかし、シャンクスは冷たい表情のまま、彼女を見ていただけだった。