第2章 中編 古代都市シャンドラ
ーーーー回復率は66%。思ったよりも進みませんでしたね
争いごとに巻き込まれる前に、この国から離れるべきなのだろう。
他の2人には既に話している。
彼女達も、頃合いを見てここから離れると言っていた。
ユーリは診療所を後にした。
シャンクスの部屋に戻ると、彼はまだ戻ってきていなかった。
羽を羽ばたかせ、定位置になっている窓枠に止まる。
窓から見える景色は、何時もと変わらないものだった。
その景色が、数か月後には火の海に包まれる。
ユーリの目は、はるか遠い未来まで見ることが出来るのだ。
その力は彼女が強い理由の1つだが、果たしてそれはいいことなのだろうか。
ここ最近、この国が滅ぶ未来を見てしまったユーリ。
折角ここまで回復できたのだ。
それを無駄にしたくなかった。
ーーー私には関係ない、そう思うべきでしょうか
ユーリはベットに移動すると、睡眠の体勢に入る。
残された時間で出来るだけ回復しなければならなかった。
ーーーこのまま行けば、良くて86%といったところでしょうか
脳裏には、滅びゆくシャンドラの映像が流れていく。
ユーリの中に迷いが生まれつつあった。