第2章 中編 古代都市シャンドラ
「あっ、もうこんな時間か。ユーリは腹減ってねぇのか?」
町に明かりが灯り始めた頃、ルフィは思い出したように肩に乗ってるユーリへと視線を送る。
ーーー私は大丈夫なので、どうぞお構いなく。
「んーなんかあったかなぁ」
ユーリがやんわりと断ってるにも関わらず、何かを探している彼。
そもそも鳥の言葉など分かるわけもないので仕方ない。
ユーリは突然目の前に突き出されたパンの欠片に、困ったように鳴き声をあげた。
ーーー私には食事という概念がないのですが、さてどうしたものか…
「なんか嫌がってねぇか?」
「ん?そうなのか?腹でもいてぇのか?」
少し心配そうにユーリを覗き込むルフィ。
ーーー彼だって空腹を感じているはずなのに、優しいんですね
ここに来るまで、何度も聞いた彼の腹が鳴る音。
にもかかわらずただの動物であるユーリを優先しようとしたルフィ。
その行動が、ユーリの心に深く落ちていく。
そもそも機械に心などというものはない。
だけどここに来て、ユーリは時折不思議な感覚に襲われることがあった。
優しく腹をさすってくれるルフィに、ユーリはフワフワとした気持ちになる。
それが何なのか、まだ彼女は分からなかった。