第2章 中編 古代都市シャンドラ
「この考えが正しいかは分からない。…だが、ここにくるまで十分に迷ってきた。これ以上犠牲者が増える前に、どうにかしねぇとな」
羽を包み込むように置かれた手。
ユーリはそんな彼の言葉に一言、鳴き声をあげた。
ーーーそうですね。争いごとに、何が正しいかなんて誰も分かりません
思い出すのは5000年前の戦争。
どんなに時が経とうとも、世界は変わらず争い続ける。
ーーーあなたのその思い、叶う日が来ればいいですね
そうすればきっと、私のような物が造られることもなくなるだろう。
ユーリは、無残にも壊れていった仲間達を思い出していた。
今の時代には、古代兵器を作れるほどの技術はない。
だけどそれも時が経てば、いずれは可能なものになるだろう。
そうなったとき、今度こそこの星は滅ぶかもしれない。
小鳥のさえずりが響く彼の部屋。
シャンクスを選んだユーリは正しかったかのか。
ユーリを拾ったシャンクスは正しかったかのか。
交わった二人の奇妙な運命が、ゆっくりと動き出した。