第2章 中編 古代都市シャンドラ
その日の夜。
ローから小鳥を受け取ったシャンクスはそのまま部屋に連れて帰った。
「よかったなーどこも異常ないみたいで」
心なしかぐったりしている小鳥を部屋の中で離してやると、窓際の所に飛んで行って落ちついた。
ーーーえぇ、そりゃもう色々よく分からないまま調べられましたので
あの後ローの気が済むまで付き合っていたら何時の間にか夜になっていた。
彼が迎えに来てくれなかったらまだ続いていたのだろうか。
そう思うと、彼が迎えに来てくれてよかったと改めて思った。
ーーーしかしまぁ、ただの旅人かと思ったらまさか国王とは。果たして私は運がいいのか悪いのか
ユーリは窓から見えるシャンドラの街並みを見下ろした。
電力供給が行き届いていないためか、ほぼ暗闇に近かった。
だけど、不思議と嫌な感じはしなかった。
「どうした?何か見えるのか?」
そんなユーリの様子に気づいたのか、一緒に窓から街並みを見下ろす彼。
ーーーここは、彼が治める国なのですね。随分と寂れていますが、気に入りました。
ここに来てまだ一日しか経ってないが、ユーリは気に入ったようだ。
後はここを拠点とし、来るべき時に備える必要があった。
「…この国はな、最弱の国と言われてるんだ」
ふわりと撫でられる感覚に、ユーリは目を細める。
「戦争なんてなくなればいい。その為に何ができるか、ずっと考えていた」
優しく労るように撫でる、彼の大きな手。
ユーリは静かに彼の話に耳を傾けていた。
「力を力で制しようとは思わねぇ。だが、話し合いが通じる相手でない以上、ある程度の力は必要なんだ」
窓枠に腰を掛けて街を見下ろしている彼の瞳は、何が映っているのか。
怒りとも、悲しみとも呼べる色に染まっているその瞳。
ここに来るまで、荒れ果てた街を幾つか見てきた。
きっとそこは、元はこの国が治めていた土地だったのだろう。
繰り返される略奪行為。
それを回避できる方法が分かれば、苦労はしなかった。