第2章 中編 古代都市シャンドラ
シャンドラへ戻る途中、シャンクスは一度だけ夢を見た。
荒れた大地に、分厚い雲に覆われた大空。
今とそれほど変わらない景色に、最初は夢だと気づかなかった。
だけどそれも、目の前で繰り広げられる戦いを見て違和感を覚える。
見たことのない兵器、人、生物。
空中を飛んでいる、羽の生えた彼らは誰だ?
シャンクスが茫然と目の前の出来事をみていると、突然現れた少女たち。
彼女達は、空中に浮いている彼らに攻撃を仕掛ける。
今の時代では考えられない程の威力で行われる戦い。
人と呼んでいいものか分からない死体が、頭上から落ちてくる。
少女たちも、手足が吹き飛びバラバラになっていた。
そんな彼女達の身体から見える機械。
シャンクスは目の前の光景に、息を呑んだ。
そして暫くすると、戦いが終わり静寂に包まれる。
辺りには多くの死体が積み上がっていた。
シャンクスはその中をゆっくりと歩いて行く。
すると、一人だけ生きている存在を見つけた。
シャンクスに背を向けて、荒れ果てた大地を…空を見つめている彼女。
ボロボロの身体からは機械の一部が見え隠れしていた。
白髪を腰までなびかせている彼女の表情は見えない。
だけど、なぜだろう。
彼女が泣いている気がした。
「お前は、誰だ?」
シャンクスは彼女の背後からそう問いかける。
「……---」
振り返らずに伝えられた音。
聞いたことのない言語に、シャンクスは耳を傾ける。
「……私の名はーーー」
ゆっくりと振り返った彼女。
……っ
その美しい姿に、シャンクスは息を呑む。
まるで時が止まったように、彼はその場から動けなかった。