第2章 中編 古代都市シャンドラ
小鳥に触れようとした瞬間、ゾッとするほど冷たい風と共に、何かが地面に倒れた。
小鳥を掴もうとした手を止めたシャンクスは、辺りを振り返る。
「……どういうことだ?」
シャンクスの目に映ったのは、地面に倒れている敵兵たち。
損傷は見られないが、息絶えたように動かない彼ら。
理解のできない状況に、シャンクスは唖然とした表情を浮かべていた。
ーーーまったく、せっかく回復した0.1%が綺麗にリセットされたじゃないですか
「……何が起きたんだ?これは…」
ーーーさぁ、なんでしょうね。気にしたら負けですよ。それよりも早く進んで下さい
驚いているシャンクスに構うことなく、羽をバシバシ叩き彼を急かす小鳥。
シャンクスは小鳥へと視線を向ける。
そして再び周囲へと視線を巡らせた。
「……はぁ」
未だに唖然としているシャンクスだったが、渋々と重い足取りでその場を後にする。
疑問に思うことは多々あるが、今それに応えてくれる人物はいない。
小鳥は再びポケットの中へと入っていった。
シャンドラまでの帰り道。
似たような状況が数回起きた。
シャンクスはまさかと思い小鳥へと視線を向けるが、最初に囲まれた時以降、こいつはポケットに入ったまま出てこない。
疑っているわけではないが、行きと帰りで違うと言えばこの小鳥の存在くらいしか思いつかなかった。
シャンクスの脳裏には、古代兵器について書いてあった文献が過る。
古代兵器の姿として、鳥の姿など一言も書いてなかった。
だけど、人間の言葉を理解しているであろうこの生物。
見つけた場所といい、違和感しかなかった。
「おまえは、ただの鳥なのか…?」
無意識に呟かれたその言葉。
その言葉に、小鳥は一言鳴き声をあげただけだった。