第2章 中編 古代都市シャンドラ
その後暫く遺跡を回っていたが、特に何かがあるわけでもなかった。
その事実にシャンクスは肩を落とす。
期待はあまりしていなかったが、手掛かりすらも残っていないとは。
全く得られなかった成果に、これから先が思いやられた。
「…はぁ」
シャンクスは目の前で揺れる炎をぼんやりと眺める。
時間帯的には深夜。
食料も付きそうなので、明日にはシャンドラへ向けて出発する必要があった。
「…まさかここで見つけたのが、お前だけとはな」
シャンクスは目の前で人の上着を陣取っている小鳥にため息を吐いた。
そんな彼に何か言いたいのか、相変わらずピッピ鳴いている小鳥。
どういうわけだか、ここ数日で小鳥との会話が増えてしまった。
最初は疲れているのかと思ったが、何故かこの小鳥と話が通じる時があるのだ。
例えばその上着。
これも、この小鳥が要求してきたものだった。
「…お前は、ここで何をしてたんだ?」
鳥に話しかけるという何とも馬鹿げたものだが、シャンクスはほぼ無意識に語りかけていた。
その言葉に、じっとこちらを見つめてくる小鳥。
ーーー何を…。強いて言うのならば壊されるのを恐れて隠れていただけですが。それよりもちょっとここのシワを伸ばしてください。
さっきから羽に当たって気になるんですよ。
シャンクスの問いかけを無視して、小鳥はシワの辺りグルグルしていた。
「…鳥のくせに神経質すぎじゃねぇか?」
そしてシャンクスは、何となく言いたいことを理解してしまった。
ため息を吐きつつ、手を伸ばし整えてやる。
ーーー失礼な。今はこの姿ですが元は精密機械。神経質じゃないとやっていけないですよ。
憤慨していた小鳥だが、伸ばされたシワに満足気に身を落ち着かせた。
「…定期的に鳴いているのは何だ?癖か?」
寝床が確保されるとご機嫌なのか、何時もよりも鳴いている小鳥。
煩いわけではないが、妙に気になってしまった。
ーーーそうですよ。まさか機械音がピッピなってるとでも?
「…お前、今馬鹿にしただろ」
よく分からないがそんな気がした。
そんなシャンクスの言葉に、再び鳴き声を上げる小鳥。
なんとも奇妙な空気が、この場を流れていた。