第2章 中編 古代都市シャンドラ
「だからシャンクスがわざわざ行かなくても、俺一人で探してくればいいだろ?その、古代ケーキ?って奴俺が絶対見つけてくるから!」
そう言って涎を垂らしながら瞳を輝かせているルフィは、恐らく先ほどの話し合いをほとんど聞いてなかったのだろう。
「…おい、さっきの会話全然聞いてねぇだろお前。古代兵器は食いもんじゃねぇぞ」
ルフィの言葉に思わずそう突っ込んだのはローだった。
ローの言葉に驚きと共に絶望した表情を浮かべる彼。
寧ろ、何処をどうとったら食い物と勘違いできるのか、こっちが驚きたいくらいだ。
ローは呆れ顔でルフィを見ていた。
「はっはっは!まぁいいじゃないか」
そのやり取りを見て笑ったのはシャンクスだった。
とても、国家の危機に直面しているとは思えないその雰囲気。
彼は、その雰囲気が嫌いじゃなかった。
「おいルフィ。ちょっとこっちにこい」
ローとルフィが何か話していたが、頃合いを見て彼を呼んだ。
「なんだ?どうしたんだ?」
ルフィはもう行くのは諦めたのか、連れて行ってくれとは言わなかった。
恐らく食い物じゃないと分かり、彼の興味が一気に失せたのだろう。
そんなルフィの様子に彼は再び笑うと、被っていた麦わら帽子を彼に被せた。
「おれに何かあったら、次の国王はお前だな」
「は?何言ってるんだ?シャンクス死ぬのか?」
「まぁそう簡単には死なないさ。だが、前国王から預かったこの帽子は、お前に暫く預かっててほしい」
前国王は今、病の治療の為に床に臥せている。
そんな彼が愛用していたこの帽子を、外の世界に持っていくのは気が引けた。
「…ん、分かった」
シャンクスの言いたいことを理解したルフィは、その帽子を深くかぶりなおした。
そんなルフィを見てシャンクスは微笑むと、乱暴に帽子ごと頭を撫でる。
ロジャーの治療に当たっているのは、家臣でありながら医者としての素質もあるローだった。
その彼が最近シャンクスに伝えた言葉。
それは、ロジャーの命がそう長くないというものだった。
それを知っているのはシャンクスのみだが、ルフィは何かを察したようだった。