第2章 中編 古代都市シャンドラ
「…麦わら屋」
「…あっ!?変なあだ名付けるなよ!」
そのやり取りを見ていたローは、ボソリとそう呟いた。
以前ルフィからトラ男という謎のあだ名を命名されてから、どうにかして仕返し出来ないか考えていたのだ。
そして呼び名が気に入らないなら、普通に呼べと言い争い始める二人。
ルフィは長くて無理の一点張りだが、ローの2文字の何処が長いのか説明して欲しいくらいだ。
恐らくトラファルガーの方を言ってるのだろうが、何故彼はローという名前を認識しないのか。
恐らくわざとではなく本気で言ってるのだろうが、何気に仕返しを模索していた彼も、中々大人気ない。
何時も全力でくだらないことを言い争っている二人。
因みにその争いが始まれば、自然とエースがルフィの味方になってくる。
そして今も彼は、何時の間にかこの争いに参加しており、そのあだ名は可笑しいとルフィのことは棚に上げてこちらを責めてくる。
「毎回うるせぇぞ。火拳屋」
「…は?何だその呼び名は!?」
そしてエースもローのことをトラ男と呼んでくるもんだから、こちらも仕返し出来ないか地味に考えていた。
「この前、俺の拳は火の様に熱いと言ってたじゃねぇか」
「いやそれ酒の席の冗談だから!恥ずかしいからその呼び名は止めろよ!」
「へェ、お前でも冗談言えるんだな」
「あ゛ぁ!?」
ローの言葉をきっかけに、言い争いがエスカレートして次第に戦闘し始める二人。
ルフィは興味なくなったのか、何時の間にかその場からいなくなっていた。
どうやら麦わら屋と呼ばれることに関しては諦めたようだ。
そしてエースとローが争うのは何時ものことなので、他の家臣達もその場を後にしていく。
「お前ら、今度この城を破壊したら自分で直させるからな」
シャンクスが最後に部屋を出て行くときに伝えたその言葉。
昔から何かと争っては物を破壊している二人。
いい加減場所というものを考えてから争って欲しかった。
「そういうお前だって冗談なんて言わねぇだろ!」
「お前と違って真面目だからな」
「てめぇ、言ってることめちゃくちゃじゃねぇか!!」
だが、シャンクスの言葉は聞こえてないのか、二人の争いは終わる気配はない。
そんな二人にシャンクスは苦笑を漏らすと、その場を後にしたのだった。