第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
「ーーー」
そんな彼に放たれた強烈な一撃。
頬から血が流れるのを感じた。
ユーリの動きは精密機械の様に、一切の無駄がなかった。
威力は辛うじてシャンクスの方が上だが、あらゆる行動パターン、可能性を先読みして動く彼女の機動力を上回ることは最早不可能だった。
ーーーー確率論においては、負けない。でも…
ふと、シャンクスの脳裏に懐かしい言葉が響いた。
ガキンッ
鈍い音と共に、シャンクスの剣が後方に弾き飛ばされる。
ーーーー『心』を持つ人間は、時には私の理解を超えるのでしょうね
丸腰になったシャンクスに止めを刺すため、ユーリが一気に距離を縮める。
その光景を見て、シャンクスは口元に笑みを浮かべた。