第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
今までの彼女からは想像もつかない程の攻撃が、シャンクスへ繰り出される。
一般人の目には見えない速さで繰り出される、二人の攻防。
シャンクスの剣は、まだ抜かれていない。
剣を構え、最初から本気で取り掛かっているユーリとは正反対に、冷静に相手の動きを分析しながら、その攻撃を交わし流す。
ーーー知力、機動力、威力、覇気、戦術、全てにおいて相手が格上なのは分かっている。
ユーリの放った覇気は大地を揺るがすが、目の前の男は微動だにしない。
ーーー最初からこの戦いに、勝利など期待していない。
シャンクスが悪魔の実の能力者なのかも分からないこの状況。
正直、勝ち目はないのだろう。
剣を抜いていないのが、何よりの証拠だ。
私のこの酔狂な提案を受けたのは、ただの気まぐれか暇つぶしか。
そこそこ力の持っており、慢心している女の戯言だと、そう思ってるのだろうか。
それならば、それでいい。
その油断には必ず、隙が出来るのだから。
私はまだ、全力で戦っていない。
シャンクスが割れた大地を避けるため、飛び上がった。
その瞬間、私は再生の能力を発動する。
全ては一瞬の出来事。
割れた大地は綺麗になくなり、ユーリはその地を踏み舞い上がる。
宙に浮いているシャンクスは一瞬だけ、視線をユーリへ向けた。
シャンクスの死角に入ったユーリ。
その剣先は、彼の首元まで迫っていた。