第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
シャンクスと10年ぶりに再会して1週間が経った。
ユーリは、今も尚捕らわれたままである。
「…っ…!…ぁっ…!」
毎日のように行われるその行為は、最早彼女にとってただの拷問だった。
行為自体に慣れる気配がないものそうだが、彼の真意が分からないままだ。
意識を飛ばし、目を覚ましても彼の姿が見えないか、いたとしても直ぐに抱かれる。
そんな状態だから、碌に会話も出来ないまま、気が付けば1週間が経っていた。
そしてついに、ユーリがキレた。
その日、意識が戻ると時間帯的に昼間だった。
痛む体を起こすも、鎖で繋がれているため部屋から出ることは出来ない。
部屋の中は必要最低限の設備は整っているし、食事も食えとばかりに何時も置いているが、そんなことはどうでもいい。
ユーリはワナワナと身体を震わせると、大きく息を吸った。
「だーれーかーー!!ここに来い!!今すぐに!!シャンクス以外で!!」
ユーリは渾身の力を込めて船内から叫んでやった。
本当はこんな姿見られたくなかったが、流石にここまでくればそんな悠長なことも言ってられなかった。
寧ろよく1週間も我慢したなと、褒めて欲しいくらいだ。
そして叫び続けること少し、最終的にはベンを名指しで呼んでいたが、漸くユーリの声を聞き入れてくれる人物が現れた。
「…はぁ、どうした?」
船内の扉が開き、現れたのは一番来て欲しかったベンだった。
ここでシャンクスが来なかったのは、己の運が強いのか日頃の行いがいいのか。
ベンはユーリのイメージの中で、一番話を分かってくれそうな男だ。
折角のこのチャンスを逃すわけにはいかなった。
「どうした?じゃないですよ!現在進行形で拉致監禁事件が起きてますよ!?さぁ私を解放するんだ、今すぐに!」
「…事件も何も、俺たちは海賊だぞ?」
ベンは扉に寄り掛かると、呆れ顔でタバコをふかしていた。
海賊が誘拐なんて別に珍しい話ではない。
そして拉致した女をどうこうしようが、それも関係ない。
まぁ、あのお頭がそれをするような人物だとは思ってなかったが。
ベンはどこか遠い目をしながら、ここに来たことを少し後悔していた。