第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
ユーリが海に出て数日後、マリンフォードに辿り着いた。
海全体が凍っており、丁度先ほど目の前の海軍本部が崩れ去るのが見えた。
恐らく終戦も近いのだろう。
「な、なんだお前は!?」
負傷者が散乱する中、戦場を駆け巡るユーリ。
誰も見たことのない人物で、しかも強い。
そんなユーリを不審に思って攻撃を仕掛けてくる海兵も大勢いた。
だがそれは予想していたことだ。
だからこそ、ユーリは半年かけて強くなったのだ。
ユーリはすみませんちょっと通りますと言う、何とも軽いノリで一気に戦場の中心へと駆け上がった。
ユーリを捕らえようとしたものは皆、その場に倒れ込んだ。
因みに彼女はここまで剣を一度も抜いていない。
それほどまでに、彼女の覇気は強力なものだった。
…うーん、先ほど上空でバギーがルフィ達を運んでいるのが見えたから、もうシャンクスはいるんだろうな。
ユーリは一度足を止めると、囲んでいた海兵達をなぎ倒し、その身を隠した。
粉塵と煙が舞い上がっている影響で今の状況がよく見えない。
…いや
不意にユーリの視線の先に捕らえた、赤。
見間違えるはずもない、彼はユーリがずっと探してきた人物で、捕らわれる羽目になった人物なのだから。
彼、シャンクスが終戦を告げる声が辺りに響き渡る。
それをユーリは、静かに聞いていた。