第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
何だろう…暑い…それに、身体が痛い。
眠りについていたユーリは、身体の違和感に目を覚ました。
「……?」
目を開けば、そこは大空が広がっており太陽がまぶしい程に輝いていた。
………え?家の屋根が吹き飛んだの?
寝ぼけている頭で咄嗟にそんなことを思ったが、どう見てもここは家の中ではなかった。
木々が生い茂る地面の上に、今私は仰向けで倒れている。
「……は?」
ユーリは意味が分からずゆっくりと起き上がった。
そして辺りを見渡すが、木しか見えない。
いや、遥か向こうには海も見えるのだが、一体ここはどこなんだ。
「…いや、ちょ…え?」
ユーリの頭は混乱を極めていたが、更に追い打ちを掛ける出来事が起きた。
「…なぜ、縮んでいる」
ユーリが立ち上がった時に感じた違和感。
低すぎる視線に咄嗟に自分自身を見てみると、何とユーリの身体は子供化していたのだ。
…いやいやいや何この名探偵コナン状態!?あれか、推理でもすればいいのか!?てかここは夢か!?ワンピースと名探偵コナンとじゃ随分ジャンルが違うなおい!!寝る前何考えていたんだよ私!!
ユーリは頭を抱え込み暫くその場に立ち尽くしていたのだが、感じる暑さも風も妙にリアルだ。
そして何時まで経っても状況が変化するわけでもなかったので、仕方なく重い足取りで目の前に広がる道を歩いて行った。
夢か現実かも分からない。
いや、これが現実だったら怖すぎるのだが。
ユーリは軽く顔を引きつらせながら歩いていると、奇跡的に村のような場所に出た。
正直このまま永遠に彷徨っていたらどうしようと心配していただけに、案外早く人のいそうな場所に辿り着けて良かった。
ユーリはホッと安堵のため息を漏らすと、何やら騒がしい場所へと取り合えず向かっていった。