第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
ユーリが目を覚ますと、そこはジャングルだった。
ジリジリと暑さが照り付ける中で身体を起こすと、目線が高いことに気づく。
それはつまり、ユーリが漸くそれ相当の年齢になれたことを意味していた。
ユーリはホッと安堵のため息を漏らすが、瞬時に絶句した。
「……おい、なぜ服がない」
ユーリは顔を引きつらせながら己の身体を見た。
視界に映るのは、完全な全裸。
もしかして野生に帰れと言う意味なのか?
混乱する頭で周りのジャングルを見渡しながら、ユーリはそう現実逃避した。
ガサッ
「……」
そしてこれまた唐突に現れたレイリー。
お互いの間に、重い沈黙が流れた。
ユーリの頭は情報処理できる許容範囲を越え、その場で膝から崩れ落ちた。
「はっはっは!流石の私も久しぶりに動揺したぞ」
場所は変わって、ここはレイリーが住んでいると思われる家。
あの後、ユーリは泣く泣く服を恵んで欲しいとお願いした。
確かにレイリーには土下座する勢いで頼もうと思っていたが、まさか最初に頼むことが服になるとは、しかも全裸で。
全裸で土下座ってどんだけハードル高いことしてんだよ。
全国探してもそんな奴いねぇよ。
ユーリは内心であの声の主を恨みながら、レイリーに乾いた笑みを返すことしか出来なかった。
取り合えず目的通り、彼に会うことが出来た。
出会い方に少々、いやかなり問題があったが、このさい忘れよう。それがお互いの、私のためだ。
「いきなり全裸で現れて不審者極まりないところ申し訳ないのですが、私を弟子にしてください」
ユーリは色々事情を話すのが面倒になり、半ば投げやりにそう頼み込んだ。
すると、あっさり承諾したレイリー。
頼んどいてなんだが、彼は暇なのだろうか。
キョトンとしたユーリにレイリーは笑みを浮かべると、美人の頼みは無下にしないさと言われた。
「…ど、どうも」
レイリーの言葉にどうリアクション取っていいか分からず、随分と素っ気ない感じになってしまった。
だけど、それを彼が気にした様子はない。
こうして私は晴れて、彼の弟子になることができた。