第3章 後編 王の願い 少女の想い
「それに、たぶん今のおれじゃ無理な気がする」
シャンクスがポーネグリフに触れたときに感じた違和感。
きっとロジャーも同じものを感じたかもしれない。
「ま、おれには荷が重いし、後は若い世代に任せるさ」
「そんな年寄りみたいな」
シャンクスの言葉にユーリは苦笑したが、それが彼の答えならそれでいい気がした。
身を翻しその場を離れようとしたシャンクスに続くユーリ。
ふと、彼が振り返った。
「…おまえ、あの指輪はいいのか?」
ユーリが黙ってついてきていると分かると、思い出したように彼女に尋ねた。
彼女は何も言ってないが、何となくあの指輪はユーリにとって大切な物なのだろうと察していた。
「…いいんです。あれは、私のものであって、私のものじゃないから」
「ははっ、なんだそれ」
困ったような笑みを浮かべるユーリに、シャンクスも苦笑したが、それ以上は何も言わなかった。
寧ろ彼女が指輪を持って帰らないことに、内心ホッとしている自分がいた。
そして二人は、色々な思い出が詰まっているであろうその部屋を後にしたのだった。