第3章 後編 王の願い 少女の想い
「…ユーリ?おまえ、どうしたんだ?」
ユーリは泣いていた。
指輪とその結晶に触れながら、ただ静かに涙を流していた。
それを見たシャンクスは驚き、そっと彼女を抱き寄せる。
「…まだ、おまえが抱え込んでいるもの、全ては教えてくれないんだな」
ユーリをあやしながらか、優しく問いかけるシャンクス。
ここに来るまでの間で彼女から聞かされた話は、まるでおとぎ話のようなものだった。
しかしシャンクスは彼女の話を信じた。
恐らく前世でユーリは、ここで過ごしていたのだろう。
そして脳裏に浮かんだのは、金色の瞳をした時のユーリ。
これは全て憶測なのだが、もしかしてユーリは……
「言いたくないなら言わなくていいが、1つだけ聞くぞ……おまえは、古代兵器だったのか?」
ユーリを抱きしめている手をそのままに、問いかけた彼。
一瞬、ユーリの身体が震えたが、ゆっくりと頷いた彼女。
「…そうか」
シャンクスは彼女を抱きしている手に力を込めると、それ以上何も言わなかった。
以前言ったように、彼女が何者でも、何を抱え込んでいても、全て受け止めるだけだった。
寧ろ、こうして少しづつ彼女のことについて話してくれるのが嬉しかった。
そんなシャンクスの思いが伝わったのか、ユーリは暫くの間、彼の腕の中で泣き続けていた。