第3章 後編 王の願い 少女の想い
「だいたい、四皇同士の接触だけで政府はあんだけ騒ぐくせに、何で仲間同士になるのはいいんだよ」
ヤソップがそうぼやくが、それはシャンクスだって知りたい。
当然、そこのところも政府に問い詰めたが、結局彼らが何を言いたいのか理解できなかった。
取り合えず、政府は派手に争わなければそれでいいのだろう。
だから四皇同士で仲間になるなら、そっちのほうがいいと。
だが、力の極端な集中化は、彼らも恐れていることではないのか?四皇同士が手を組むのは、政府が最も恐れていることだ。
恐らくユーリを甘く見ているところもあるのだろうが、シャンクスは頭が痛くて仕方なかった。
「…はぁ、取り合えず数日はここに滞在する予定だから、おまえらは好きにしてろ。……ユーリ、何時まで呆然としてるんだ。行くぞ」
とりあえず四皇の話は忘れるとして、ユーリを連れ出し一緒に散策することにしたシャンクス。
何か目的があるわけではないが、ロジャーが残した言葉が気になる。
「…四皇って、幾つもの拠点や傘下を持ってないとなれないんですよね?何で私なんですか?」
「それは、おまえが黒ひげを殺ったからだ」
「…あ、そうだ。四皇じゃなくて三皇にすればいいんじゃない?」
「おー、いいなそれ。今度やつらにそう言って脅しをかけてくる」
「喧嘩はしないでくださいね」
冗談のように聞こえる言葉だが、恐らく彼は本気なのだろう。
先ほど、政府相手に電話を掛けていた彼。
それはそれは激しい口論が続いていた。
これが面と向かっての話し合いなら、殺し合いになっていてもおかしくないレベルだった。
それもこれも、ユーリを思っての行動なのだろう。
四皇になっていいことなど、たいしてあるわけでもない。
シャンクスだって好きで四皇と呼ばれるようになったわけではないのだ。
色々な島を渡り歩いているうちに勢力が拡大していき、更には世界政府からも一目おかれ、気が付けばそう呼ばれていた。
全く持って不本意な話だが、シャンクスが四皇でいる間、救われる奴もいるようなので、仕方なく受け入れただけなのだ。