第3章 後編 王の願い 少女の想い
ラフテルへ向かっている途中。
ユーリとシャンクスは毎日のように愛し合って、そのまま眠りについていたが、今日は少し違った。
控えめなノックの後に、航海士がシャンクスを呼ぶ声が聞こえてくる。
どうやら少しだけ問題が起きたらしい。
シャンクスは返事をすると、名残惜しいがユーリを手放し服を羽織って部屋を出ていった。
シャンクスの話によると、早ければそろそろラフテルにつくらしい。
部屋に取り残されたユーリはぼんやりとしていたが、ふとシュライヤのことを思い出した。
無事に意識を取り戻したとクルーから連絡があったきり、その後どうなったのか分からない。
と言うか、あれから本人とは一度も言葉を交わしてない。
ユーリは勝手にクルーに指示と出したことや、下手をすればシュライヤまで手にかけてことを謝らなければ思った。
あれからまだそんなに日が経ってないが、そろそろ彼も回復している頃だろう。
ユーリは部屋に備え付けてある電伝虫を手に取った。
ーーーー久しぶりだな、元気だったか?
ユーリが電話をかけると、応対したクルーが直ぐにシュライヤと変わってくれた。
電話越しに聞こえる彼の声は元気そうだった。
「はい、私は大丈夫です。それよりもあの時は色々とすみませんでした」
ユーリは当時の出来事をシュライヤに話していった。
シュライヤもクルーから軽く話を聞いていたようで、すぐに内容は伝わったようだ。
ーーーーいやいやおまえが謝るのはおかしいだろ?巻き込んだ上に助けてもらったのは俺のほうだ。寧ろ感謝しているし、謝るのはこっちだ。
電話越しに彼が苦笑しているのが分かった。
だが、折角部屋の中に匿ってくれたのに、勝手に出てきたのはユーリだ。
お互いこっちが悪いと暫く譲らなかったが、次第に馬鹿らしく思って来たので、お互い様と言う事で決着がついた。
「相変わらず優しいと言うか、紳士的というか…」
ーーーおまえは、なんかお節介そうだよな
お互いそう声を漏らし、自然と笑いあった。