第3章 後編 王の願い 少女の想い
シャンクスが意識を失っていた1週間。
彼は、不思議な夢を何度か見ていた。
気が付けば、何時も知らない街並みを歩いていた。
そしてそこに住んでいると思われる人々に、親し気に声を掛けられる。
それに対して、普通に接していく自分自身。
まるで、自分の身体なのにそうじゃないかのような、そんな不思議な感覚に襲われていた。
そして必ずと言っていい程、彼が向かう場所がある。
暫く街中を歩き続け、辿り着く場所は、祭壇のある大きな鐘の前だ。
そこから見下ろす街並みは、とても綺麗だった。
「…---」
大きな鐘の傍に立って街を見下ろしている少女。
白銀の髪をなびかせている彼女に、声を掛ける。
その声に反応して彼女が振り返るが、何時もその途中で夢が終わってしまった。