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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第3章 後編 王の願い 少女の想い



シャンクスが行き先を急遽ラフテルへ変更する旨を伝えると、当然だが皆驚いた。

あの幹部でさえ最初は冗談かと思ったくらいだ。

だが、シャンクスから詳細を聞くことによって次第に納得していく彼ら。

最初は困惑気味のクルー達だったが、今では財宝を期待して色めきだっている。

「頭は、ラフテルに行ったことあるんだろ?あそこには何かあるのか?」

クルー達が騒いでいる中で、ベンがシャンクスに近づいて来た。

相変わらずタバコをふかしている彼の表情は変わらない。

ラフテルという島自体にも、特に興味はなさそうだった。

「昔、ロジャー船長と一緒に行ったことはあるが、おれは島に降りれなかったのは知ってるよな?」

「…あぁ、そういえばそう言ってたな。だから今回は自分の足で見てみたいと?」

「…まぁ…そうだな…」

ベンの言葉に少しだけ歯切れ悪く応える彼。

どうやらまだ他に理由があるらしい。

だがベンは無理に聞き出そうとは思わなかった。

この男が行きたいと言うなら、ついて行くだけだ。

昔からそうだった。

誰よりも自由を愛し、海を愛したこの男について行くと決めたのは、他ならぬ自分自身だ。

今更行き先に口を出すつもりはなかった。

まぁ最近、恋愛ごとには思わず口を出したがそれは仕方ない。

ベンはそっと苦笑すると、その場を離れる。

そして未だに騒いでいるクルー達を静かにさせ、航海士を呼んでいた。

何時だって、シャンクスの進む道を文句の一つも言わずについてきたベン。

進むべき道は基本的には自分で切り開いていた彼だが、邪魔が入るなら当然ベンも排除していた。

彼と出会って、早十数年。






ーーーそろそろ、一区切りがつく頃か。


果たしてシャンクスは、ラフテルに行った後どうするのか。

何事もなかったように航海を続けるか、それとも……



ぼんやりと考え込んでいるベンの脳裏には、ある可能性が過っていた。






だけど、彼がどんな決断をしても、それに従うだけだ。


それが出来るほどには、ベンはシャンクスのことを信頼していた。

例え恋愛下手で不器用な男だと最近発覚したとしても、それは変わらない。

長年の付き合いだ。

だから最後まで、シャンクスに付き合うつもりだった。


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