第3章 後編 王の願い 少女の想い
シャンクスが目を覚ますと、丁度日が暮れようとしていた。
腕の中には静かに寝息を立てているユーリ。
シャンクスは暫くその表情を眺めていたが、ゆっくりとその身体を起き上がらせる。
ユーリが起きないよう気遣いながらベットに腰かけると、そっと息を吐いた。
視界の端に映ったのは、彼女が最後まで握り締めていたポーネグリフ。
シャンクスはそれが本物だと、すぐに気が付いた。
しかもそれはロードポーネグリフだ。
世界に4つしかないその赤い石の所有者は限られている。
1つ目はゾウの島にあり、2つ目は四皇の1人であるカイドウが持っている。3つ目の所在は不明なままで、4つ目はシャンクスが持っていた。
シャンクスが持っているポーネグリフはロジャーから渡されたものだ。
昔、ラフテルに到達したとき、船を降りるのを許されたのは一部の者だけだった。
残念ながらシャンクスは降りることが出来ず、大人しく船の中で待っていた。
そして数日後。
戻って来たロジャーは、どこか晴れ晴れとした雰囲気だった。
その後はすぐに出航となり、暫く航海を続けていたが、あの島に何があったのか、それは最後まで教えてもらえなかった。
だが、ロジャーが捕らえられる数日前、何故かロジャーが所有していたポーネグリフをシャンクスに託された。
何時か立派な海賊になった時、おまえが自分の足であの場に辿り着くことを期待しているぞ。
それが、シャンクスが聞いたロジャーの最後の言葉だった。
何故彼がそう言ったのか、今でも分からない。
それから時は流れ、1つ目と2つ目のポーネグリフは四皇の立場を利用し、その情報を抜き取ることができた。
ロジャーに渡されたポーネグリフは、そこに記載されている文字だけ残し、シャンクスの故郷に置いている。
そして偶然か必然が、どうしても見つからなかった3つ目のポーネグリフが、彼の前に現れた。
4つの石が指し示す場所を目指せば、ラフテルに行ける。
ロジャーが見たものを、シャンクスも見ることが出来る。
シャンクスはポーネグリフを手に取ると、ロジャーが最後に伝えてきた言葉を思い出していた。