第3章 後編 王の願い 少女の想い
「か、駆け引きよりも先にやることがあったんじゃないですか?もっと優しく接するとか…」
未だに髪を弄んでいるシャンクスから視線を逸らし、ボソボソと言葉を発した彼女。
「あぁそれな。この前ベンにも言われた。まぁ過ぎたことは仕方ねぇだろ?本気で好きになったのは初めてなんだから、自分でも制御できなかったんだ」
「なんで開き直った上に微妙に偉そうなんですか?…いや、まぁいいか。…それで、何時から…その、私のことを……す、好きだと…」
何とも自分勝手な主張だったが、この際水に流すことにした。
何となく腑に落ちない気持ちもあるが、これ以上この話題で争っても仕方ないだろう。
と言うか今更ながら、凄い人物に好かれているのだと実感し始めていた。
四皇でありながら、世界政府やもっと上の存在と繋がりがある彼。
それは彼が信頼できる人物であることと、その人柄が認められているのか。
まぁそれ以前に、その整った容姿に虜になる女性など腐るほどいるだろう。
今更だけど、本当に私でいいのか?と言うか、何故私なんだ?
そう言った不安や疑問が、彼女の中で沸き起こった。
「何時から?…あーはっきりとは分からねぇが、多分フーシャ村で会った時からか?」
「…え、まさかロリコン…」
「多分って言っただろ。おれだって改めて考えてみて、困惑してるんだからな」
何とも的を得ない解答だったが、彼がそう言うのならそうなのだろう。
シャンクスのロリコン疑惑は残ったままだったが、確かに今の彼の周りには美女ばかりが集まる。
だから、ユーリだけ例外だったのだろう。
因みにユーリを好きになった理由は、気が付いたら惹かれてた、だそうだ。
まぁ私も似たようなものだから、そこは気にしないことにした。
「さて、積もる話もあるだろうが、そろそろ続きしてくれねぇか?」
「え?まだ私がする流れ何ですか?」
「あー痛いなー。身も心もユーリに傷つけられたからなぁ」
「自分も似たようなことしておきながら、何言ってるんですか」
ユーリの最もな意見を聞いているのか聞いていないのか、これ見よがしに痛がる素振りを見せる彼。
仮にも四皇だから、そんなの痛いうちに入らないだろう。
恐らく絶対ワザとだと思ったユーリは、なんて大人気ないんだと嘆きながら、折れざるを得なかった。