第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
願い事を1つ叶えると言われたが、元の世界に戻れないならもう答えは決まっていた。
「シャンクスの腕を元に戻してください」
ーーーそれも無理です
「何故だぁぁぁ!!」
何でも叶えると言うわりには、範囲が狭すぎじゃないか!?
ユーリは絶望し膝から崩れ落ちたが、そうしていても彼女の願いが叶うわけでもない。
じゃぁ逆にどんな願いならいいのか教えてくれよ。
ユーリは内心そう嘆いたのだった。
「そもそも…私がこの世界に留まる理由はなんですか?」
ユーリは荒れる心を何とか落ち着かせると、今聞くべきことを先に聞くことにした。
ーーーそれはあなたがあの赤髪に認められ、ワンピース…いや、この世界を変えれる可能性を秘めているからです
「いやちょっとまて、一気に与えられる情報量が多すぎる」
ユーリは次第に痛くなってくる頭を抑えると、必死で状況を整理した。
まず赤髪ってシャンクスの事だよな?認められるって何だ?人の腕を奪っておいてそれはないだろう。
まさか彼はMなのか?
最初の言葉から理解が追い付かないこの状況に、ユーリは更に詳しく説明を求めたが、後は自分で考えろと放棄された。
おい、さっきまで丁寧な対応だったのに、何で急に雑になった。
あれか、いい加減腹をくくらない私に嫌気がさしたのか?
それならば是非とも他の人物を当たってくれ。
ーーーさて、やはり願い事はないようですね
「あ、再生する能力とか欲しいです」
さり気に会話を終了させようとした声の主を引き留めるユーリ。
全く持って油断も隙も無い。
ーーーその力は今、他の人が持っています。欲しいならその人が死ぬまで待つか、自分で殺して手に入れてください
そしてしれっと勧められた殺害計画。
最早ユーリのため息は止まらなかった。