第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
「…もういいや。取り合えず10年後に飛ばしてください。場所を指定できるならレイリーさんのところに」
ユーリは半ばやけくそになり、そう提案した。
今の子供の状態で出来ることなど、何もないだろう。
再生の力ももらえない、シャンクスの腕も治してもらえない。
それならば悶々と長い時を過ごすより、一気に時代を飛ばしてくれた方が幾分か気が楽だった。
そして全てはマリンフォード頂上決戦でケリをつける。
そう、ユーリは意地でもシャンクスの腕を治す気でいた。
正直シャンクスがどこで過ごしているかなど、全く持って分からなかった。
だから唯一会えるとすれば、あの戦争しか思いつかなかったのだ。
あの戦場で生きてシャンクスに会うためには、まず強くなる必要がある。
だからその為に、レイリーさんの場所を指定できるならお願いした。
彼はルフィの師匠だ。
ユーリは土下座する勢いで、彼に覇気等色々教えてもらうつもりだった。
そして戦争が始まるまでに強くなり、何かしら彼の腕を治す方法を見つける。
腕を治す方法だけまだ分からないが、今ここで考えても仕方ないだろう。
ーーー流石ですね。自ら運命を受け入れて、強くなるとは
そしてそんなユーリの提案に、声の主は満足したようだった。
自ら運命を受け入れるって、無理やり受け入れさせられたんだが!
ユーリは思わずそう口にしようとしたが、彼女の意識はすぐさま暗転していった。
その行動の速さに、最早関心を通り越して呆れの表情を浮かべることしか出来なかった。