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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第3章 後編 王の願い 少女の想い



「冗談…じゃねぇよな」

「…え?このタイミングで冗談を言いますか?」

「…まぁ、そうだろうな。…生憎好かれる要素が思いつかなくて、柄にもなく混乱していた」

「そうですね、普通なら嫌われてますよ」

「おまえ、嫌いだって言ってなかったか?」

「意地を張ってたのもあります。良かったですねー相手が心の広い私で」

「……」

「色々好き勝手されましたが、それでも嫌いになれなかった。そして好きだったんだと、気づいたんです」

「その、偶に過去形になるのは何なんだ?」

時折、ユーリがまるで昔から好きだったような口ぶりで伝えてくる言葉。

シャンクスはそれが理解できなかった。

怪訝な表情をする彼に、ユーリは苦笑した。

「これから先、時間はたくさんあります。その中で少しずつ、私の過去を話そうと思います」

困ったような笑みを浮かべる彼女に、シャンクスはこれ以上追求するのをやめた。

何時か話すと言っているのならば、今無理に聞く必要はなかった。

正直、シャンクスにとって一番重要な言葉が聞けただけで、今回命を掛けた甲斐があったものだ。

シャンクスはユーリを掴んでいた手を引っ張ると、そのままベットの上に引き上げた。

シャンクスの上に乗りかかるような姿勢になったユーリは、慌てたように彼から降りようとする。

だがそれも、背中に回された手によって遮られた。

「ちょっと、傷が開きますよ?」

「このくらいどうってことねぇよ。それよりも今は、ユーリを感じたい」

「か、感じたい?」

「そうだ。晴れて両想いになったんだから、やることは一つだろ?」

ユーリの下でニヤニヤと笑っている彼は、一見冗談を言ってる気もしたが、多分本気なのだろう。

ユーリは呆れたようなため息を吐いたが、そっと笑みを浮かべた。

「傷が開いても知りませんよ?」

「…へぇ、そんなに激しくしてくれるのか?」

挑発するように視線を交える二人。

シャンクスの言葉に一瞬恥じらいが沸き起こったユーリだが、もう引くわけにもいかない。

だから、動揺してるのを悟られないように、彼に口づけたのだった。




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