第3章 後編 王の願い 少女の想い
「な、何を言ってるんですか!?早く治療してもらわないと死ぬかもしれないんですよ!?」
悲痛な声でユーリは訴えるが、シャンクスがユーリを放すことはなかった。
「なぁ、何で泣いていたんだ?おまえは、何を抱え込んでいる?」
ゆっくりとユーリの頭を撫でながら、まるで世間話をするかのように話し出す彼。
「それは後で話すから…!今は船医を呼びに…!」
「つってもなぁ…おまえ勝手にいなくなるから。またどこか消え…」
「私はもうどこにも行きません!シャンクスがいいって言うまでずっと一緒にいます!」
シャンクスの言葉を遮り、叫ぶようにユーリが伝えると、漸く込められていた腕の力が弱まった。
「そうか。……その言葉、忘れるんじゃねぇぞ」
そう微笑んだシャンクスは、意識と共にユーリを手放した。
「…っ!!」
倒れ込んで来たシャンクスを抱き込んだユーリ。
その背後には、こちらに向かってくるベン達の姿が見えた。