第3章 後編 王の願い 少女の想い
シャンクスがユーリを探していると、その姿は意外にも早く見つかった。
倒された木々を抜けると、開けた場所に出た。
焼け野原となったその中心で立ち尽くす1人の少女。
シャンクスはそれがユーリだと直ぐに分かった。
「ユーリ!」
彼女の名前を呼び駆け寄るが、シャンクスの声が聞こえてないのか、何も反応しない。
前方で倒れている黒ひげを見ると、この惨状は彼女がやったのか。
シャンクスの脳裏には、数日前にユーリと戦った時の記憶が過った。
嫌な予感を払拭するようにユーリの肩を掴んだシャンクス。
半ば強引にこちらへ向けると、その瞳は金色に染まっていた。
「……っ…!」
目が合った瞬間、突き出された剣。
シャンクスは咄嗟に飛びのいて、一瞬躊躇ったが剣を抜いた。
今の彼女があの時の者なら、本気でいかなければ殺される。
前回と比べて両腕なのでまだ互角に戦えるだろうか。
…いや
シャンクスは瞬時に攻撃を繰り出してきたユーリを避けながら、舌打ちをする。
ここは海から離れているので、前回と同じ手は使えないだろう。
かと言って彼女を傷つけるのは本意ではないし、そんな悠長なことを言ってればこちらが殺される。
風を切るような音と共に、彼の頬を流れる血。
「おまえは、誰なんだ?」
ユーリの攻撃を受け流すと、僅かに隙が出来たのでシャンクスは問いかけた。
一瞬彼女の動きが止まり、二人の視線が交わる。
「……ワ・・・タシ・・・ハ」
前回と違い、理解できる言葉を発した彼女。
シャンクスは、ただ黙って彼女の言葉に耳を傾けていた。