第3章 後編 王の願い 少女の想い
ユーリは綺麗な祭壇が立てられている丘の上から、街並みを見下ろしていた。
目の前の大きな鐘が静かに響き渡る。
夕暮れに照らされたその街並みは、とても美しかった。
「大丈夫?」
ふと、背後から声を掛けられた。
振り返れば、片腕の少女がこちらを見ている。
失った腕から剥き出しになっている機械の一部に、ユーリは一瞬ギョッとした。
「…うん、たぶん…大丈夫…なのかな?」
何が大丈夫なのか分からないが、咄嗟にそう答えてしまった。
「そうだね。彼に任せれば大丈夫か」
どこか納得したように頷く彼女。
ユーリは意味が分からないと言った表情だったが、一瞬にしてその景色は闇に包まれた。
消えてしまった彼女。
振り返れば、美しかった街並みが見るも無残な姿になっていた。
一体何があった?
ユーリはゆっくりと視線を上空に向けた。
そこに映ったのは、1人の少女。
人間とは思えない力で、街を破壊していく。
あれは、誰だ?
アレハ……ワタシ?
「…~~~ッ!!!!」
ユーリは声にならない悲鳴を上げた。