第3章 後編 王の願い 少女の想い
「おい、どうなってる!?あいつは無事なのか!?」
シャンクスが駆けつけた時には、既に島全体が崩落していた。
直ぐにシュライヤの船に追いつけると思っていたが、予想以上に時間を食った挙句に、まさか黒ひげが関わっているとは思わなかった。
唖然とした様子で島を見ていたクルー達に詳細を聞いたシャンクスは、その場を駆け出した。
脳裏に過ったのは、エースと白ひげの死。
幾らユーリが強いと言えども、1人で向かうなど自殺行為だ。
シャンクスは焦る心をそのままに舌打ちをすると、必死にユーリの姿を探した。
船を降りて島へと向かったシャンクスを、ベンは静かに見ていた。
後を追うべきか迷っていた仲間には、この場に残るよう命じた。
これだけの被害状況だ。
恐らく黒ひげとその仲間が無事とは思えなかった。
それは当然ユーリにも言えることだ。
一体何が起きたのか。
最悪の結末だけは避けて欲しかったが、どう見ても絶望的だ。
ベンは神妙な面でシャンクスの消えていった方向を見ていた。
もしユーリの死体を見つけようものなら、荒れるだけでは済まないだろう。
長年の付き合いがあるベンでさえ、シャンクスがどんな行動を取るか想像もつかなかった。
背筋に冷たい何かが流れる。
…頼むから、虫の息でもいいから生きててくれ
ベンは切実にそう願った。