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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第3章 後編 王の願い 少女の想い



ユーリは静かにその言葉を読み上げる。

シュライヤへ向けられた純粋な思い。

それが彼女が最後に残した、彼への思いだった。

ユーリから言葉を聞いたシュライヤは驚き目を見張る。

そして、どこか苦しそうに表情を歪ませた。

死ぬ直前まで、更には死んだ後も揺るがなかった愛情。

それを改めて聞かされたシュライヤは、何とも言えない気持ちになった。

「本当に、シュライヤのことが好きだったんですね」

彼女の思いを伝え終わると、ロウソクの火を消して再び部屋の明かりをつけたユーリ。

ユーリは石をシュライヤに返そうと差し出したが、何故だかそれは拒否られた。

「結局彼女の思いには一度も答えれなかった。その石を受け取る資格はねぇよ」

そう困ったような笑みを浮かべている彼。

だがそう言われでも、ユーリだってこの石を押し付けられても扱いに困る。

もし本物のポーネグリフなら、それこそ問題だ。

まぁ、それにしても…

「変わらない愛かぁ、何か羨ましいな」

「…おまえ、あの赤髪の女じゃねぇのか?」

「さぁ、それは私にもよく分かりません」

「なんだそれ」

お互い顔を見合わせて、笑った。

シュライヤの話を聞いて、彼女の中でバラバラになったピースが少しずつ形になっていく。

今度戻った時、ちゃんとシャンクスと向き合って、話し合おう。

そう思えるようになる程、彼女の心の整理がつき始めていた。

「しかし、よくあの変な文字が読めたな?」

「え?確かに。何故だろう。なんかふと頭に…」

「キャプテン!!」

ユーリがシュライヤの問いかけに首を傾げてると、慌てたようにクルーの一人が駆けつけてきた。

「なんだ?どうした?」

「そ、それが四皇の一人が…」

その言葉を聞いてユーリはシャンクスだと思った。

早いなおいと思って外へ向かおうとしたが、どうやらそれは違うようだった。












「黒ひげがこちらに向かってきてます!!」

叫ぶように言葉を発せられたと同時に聞こえてきた、砲撃の音。

ユーリは咄嗟に向かおうとした足を止め、手元のポーネグリフを見た。


嫌な予感がした。

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