第3章 後編 王の願い 少女の想い
ユーリがシュライヤの船で過ごし始めて3日が経った。
短い期間だが、だいぶクルー達とも打ち解けたユーリは、時には楽しく話したり、色々と彼らの身の回りの世話をしたりと、案外上手くやっていってた。
あれから毎日のようにシャンクスのことを考えていたユーリ。
少しずつではあるが、彼女の中で落ち着きを取り戻しつつあった。
そんなある日の夜。
珍しくシュライヤがユーリの部屋を訪れてきた。
不思議そうな表情をしている彼女に、シュライヤは少し聞いて欲しい話があると言って、適当な椅子に腰を掛けた。
「悪いな、いきなり押しかけて。もう少し早く来る予定だったんだが」
「いえいえ気にしないでください。話とは相談か何かですか?」
相談し合える程の信頼関係を作った覚えはないが、ユーリは素直に嬉しかった。
どういった経緯でユーリを頼ることにしたのか分からないが、出来る限り力になりたいと思っていた。
「そうだな。…おまえ、これが何か分かるか?」
そう言って服の中に隠していたネックレスを取り出した彼。
正方形の形をした質素な作りのそれは、装飾品というにはあまりにも味気なかった。
シュライヤはそれを首から外すと、ユーリに渡した。
「丁度半年前だったかな。ある島で出会ったお姫さんに、渡されたんだ」
海賊でありながら、ある王国の姫と偶然出会った彼。
たまたま誘拐されそうになっているのを助けただけだったが、まさかそれが姫だと思わなかったし、その後気に入られるとも思っていなかった。
海賊など、当然いいイメージを持たれるはずがない。
ストレートに好意を伝えてくれる彼女には申し訳ないが、その思いは早い段階で断った。
どう見ても色々な方面から反対されるのが目に見えている。
シュライヤはそう思って、彼女の為にと断ったのだが、意外にも彼女は諦めが悪かった。
遂には私も海賊になると言い出す始末で、どうしたものかと頭を悩ませていた時に起きた出来事。
シュライヤは、以前姫を誘拐しようとした犯人として疑いを掛けられ、捕らえられてしまった。