第3章 後編 王の願い 少女の想い
「いやーすみません。突然のお願いにも関わらずお世話になることになりまして」
そう、申し訳なさそうに言ったユーリが乗っているのは、シュライヤの海賊船。
ベンに手紙を渡した後、適当に行商船にでも乗って少しの間放浪しようとしていたが、運悪く一隻も見つからなかった。
そして港で途方に暮れているところに、偶然鉢合わせたシュライヤ。
藁にも縋る思いでお願いしてみると、少し渋っているようだったが、受け入れてくれた。
「気にするな。ワケありなんだろ?」
そう苦笑するシュライヤは、本当にいい人だ。
ユーリの抱えている事情も、必要以上に聞こうとしなかった。
更には、世話になる身でありながら部屋を1つ空けてユーリが使えるようにしてくれた。
女性を乗せるのは初めてて片付いてないが、それは勘弁してくれと言った彼。
当然、文句どころか感謝の言葉しか出てこなかったユーリは、お世話になる間は色々な雑用を引き受けることにした。
それこそ気にするなと言ったシュライヤだが、お世話になる身でのけじめだと言われれば、断る理由は見つからない。
困ったような笑みを浮かべた彼は、何かあれば俺でもクルーでも言ってくれと言い、その場を離れていった。
与えられた部屋に残されたユーリは、窓から見える海を眺めていた。
シャンクスは今頃、ユーリの不在に気づいているはずだ。
果たして彼は今、どうしているのだろうか。
一応戻るとは伝えているので、気にせず航海を続けているのだろうか。
考えても答えが見つかるわけではないが、ユーリは暫くシャンクスのことを考えていた。