第3章 後編 王の願い 少女の想い
服を買い、その後適当に必需品を買ったユーリは、シャンクスと一緒に酒場に向かった。
因みに荷物は全て、店の人が船まで届けてくれることになった。
なんか、凄いな。四皇って。
別に四皇だから至り着くせりってわけではないだろうが、思わずそう思ってしまった。
そして酒場に着くとユーリは、その騒がしい雰囲気に押され扉の前で立ち尽くしていたが、シャンクスに手を引かれ隣に座らされた。
「じゃ、お頭の左腕復活を祝って、乾杯ー!!」
もうすでに始まっていた宴だが、二人が揃ったことにより、再びグラスを合わせる彼ら。
ユーリも適当に酒を頼み、彼らの話に耳を傾けていた。
内容は、マリンフォードの件、エースと白ひげの葬儀、今までの冒険の話と様々だった。
その中には、今後の航海についても語られており、ユーリは少し興味深そうに聞いていた。
本誌では多く語られていない赤髪海賊団。
その話を聞けるのが、何だか嬉しかった。
「大人しいな、こういう場はあまり好まないのか?」
ユーリが黙って話を聞いていると、ベンが話しかけてくれた。
「いえ、そう言うわけでは。ただ改めて私は仲間になったんだなぁと、実感していただけです」
「後悔してるのか?」
「後悔はしてないですよ。どちらにしろ行く宛てなどないですから」
「…そう言えば親はいないのか?」
「まぁそんな感じです」
そう曖昧に笑ったユーリに、ベンはそれ以上突っ込んで聞いてこなかった。
そういう彼の気づかいをシャンクスも持っていればいいのだが。
そう思って彼に視線を向けると、隣にはいなかった。
店の中で視線を彷徨わせれば、少し離れた場所で店の人なのだろうか、綺麗なお姉さんにお酌してもらってるシャンクスの姿が目に映った。
どうせ仲間にするなら、もっと美人な人でも良かったのでは。
誰から見ても美女と言える人物から口説かれているであろうシャンクス。
会って間もないのに親し気に話しているのは、シャンクスの気さくな性格のおかげなのだろうか。
ユーリは解せないと言うような表情で、酒を飲んでいた。