第3章 後編 王の願い 少女の想い
シャンクスと共に適当な店に入る。
女性ものの衣服が並んでいる棚を見て、動きやすそうな服装を探すユーリ。
シャンクスはシャンクスで何かを探しているようだった。
まさかあの四皇の1人と、普通に買い物する日が来るとは。
人生とは何が起きるか分からないなと、どこか他人事のように考え込んでいたユーリは適当に何着か服を手に取った。
「おまえ、男じゃねぇんだからもう少し女性らしいの選べよ」
程なくして近づいて来たシャンクスは、ユーリが手に持っている衣服を見て思わずそう突っ込んだ。
今彼女が持っているのはズボンと簡素な上着を数着。
それ以上のものは持っていなかった。
「海賊である以上、動きやすさを一番に考えるのは当然だと思いますが……ってその手に持ってるものは何ですか?」
ユーリが視線を向ければ、何故か女性ものの服を持っているシャンクス。
怪訝な表情でそれを見ていると、どうやらユーリの服を勝手に選んできたらしい。
「いやいや、そんなヒラヒラでスカートなんか履いて戦いたくないですよ」
「別に戦う用の服じゃねぇよ。それに、女海賊でもそれなりに女性らしい服装の奴もいると思うが」
シャンクスはそう言いながらユーリの持っている服を手に取ると、さっさと会計を済ませに行ってしまった。
確かにシャンクスの言う通り、ハンコックやボニー、アルビダと、皆お洒落というか女性らしい恰好をしているともいえる。
だがユーリはそんなものには興味はない。
質素かつ動きやすさが一番。
そう思っていたのだが、結局お金を払うのは彼なのでこれと言った文句は言えない。
ユーリはシャンクスの後ろ姿を見ながら、彼の選んだ際どい服を絶対に着るものかと、内心で決心をしていた。