第3章 後編 王の願い 少女の想い
シャンクスが拠点にしている1つの島。
そこにユーリは連れて来られた。
一番近い島がここだと言われ、どんな所かと思えば予想以上に栄えていた。
規模的にドレスローザくらいはありそうだ。
活気づいた街並みをシャンクスと歩いていると、時折町の人が彼に声を掛けてくる。
それをみて、だいぶ慕われてるのが分かった。
四皇で海賊といえども、白ひげのようにその名を使って街を守ってる海賊もいる。
当然シャンクスも、人を傷つけることも、島を荒らすこともしないだろう。
しかしユーリは隣を歩いている彼に何か言いたげな視線を送る。
シャンクスは時折会話の為に立ち止まることもあるが、気が付けばユーリの隣に戻っている。
「あの、わざわざ着いてこなくても、仲間と一緒に先に酒場に行って大丈夫ですよ?」
日が暮れる前についたので、クルー達は一足先に酒場へと向かった。
久しぶりに街で飲めて嬉しいのか、その姿はすぐに消えていき、ベンが呆れたようにため息を吐いていた。
そしてシャンクスは何故かユーリの買い物に付き合ってから合流するということになっている。
「そう言うが、お前金持ってないだろ?」
シャンクスのその言葉で、ユーリは返す言葉に詰まった。
確かにユーリは無一文だ。
だから申し訳ないがちょっと借りて、後で賞金首狩りでもして返すつもりだった。
その旨を彼に伝えると、よく分からないが一緒に行くことになっていた。
彼の言い分は、金は返さなくていいから好きなものを買えと言う事だ。
しかしそう言われると、一人で行動したかったユーリは非常に困る。
じゃぁありがたくそうするから金だけ寄こして、おまえは先に仲間の元に行けとも、言えるわけがない。
いや、実際にはオブラートに包んでそれとなく伝えたのだが、彼は聞いてるのか聞いてないのか。
絶対分かってて着いて来てると察したユーリは、早々に諦めざるを得なかった。