第3章 後編 王の願い 少女の想い
ユーリの必要な物を買うため、ある島へ向かっていたのだが、その途中で無名の海賊と交戦になった。
相手が赤髪海賊団と知っているのか知らないのか。
見たことのない海賊旗だったので後者の可能性が高いが、なんと無謀なことか。
最初は攻撃もせずこちらに近づいてくる海賊船に、クルー達は違和感を覚えていた。
だがそれもギリギリまで近づいて来たところで、急に戦闘が始まった。
なるほど、離れた状態で大砲で打ち込んで先制攻撃をしても、近づく前に沈められるとでも思ったのか。
そう考えると、無謀かもしれないが余程の馬鹿でもなさそうだし、恐らくシャンクスだと分かってて攻撃を仕掛けてきた可能性がある。
ベンは甲板の壁に背を預けてタバコをふかしながら、クルー達の戦闘を見ていた。
シャンクスは適当な木箱に座って酒を飲んでるし、ルウは肉を食ってるし、ヤソップに至っては銃の手入れをしてる。
銃の手入れは、戦闘中に行うものなのだろうか。
ユーリはそんな自由な彼らを少し離れた所から見ていた。
シャンクスから戦闘に参加しなくていいと言われ、一瞬ユーリの実力を疑われたのかとも思ったが、それは違った。
実際に戦闘してるのは下っ端で、幹部クラスは手を出さない。
どうやらこのスタイルが、彼らの戦い方らしい。
相手からしてみれば完全に舐められた状況に頭にも来るだろうが、実際に実力の差は歴然なのだから仕方ないのだろう。
戦闘が始まってまだそんなに時間が経ってないのに、敵は既にほとんどが地面に倒れている。
ユーリは程なくして終わるであろうこの戦いに興味を失せたのか、室内へと戻っていった。