第3章 後編 王の願い 少女の想い
その後普通にシャンクスと世間話をしていたユーリ。
シャンクスが拠点にしている島はあるが、先日のマリンフォードの影響で暫く海の上で滞在するらしい。
何でも色々やることがあるとかで、ユーリは特にその辺りは詳しく聞かなかった。
興味がない、というわけではないが、ユーリはユーリでこれからのことを考える方が重要だったので、あえて聞かなかったのだ。
一緒に航海する以上、必要な情報であれば向こうから話してくるだろう。
因みに空白の10年間について再度聞かれたが、適当にはぐらかしていたら意外にもあっさりと身を引いてくれた。
そのことにユーリは安堵するとソファーに背を預け、これからのことを考えた。
取り合えず寝床は確保できたが、元の世界に戻るにはどうしたらいいのか。
と言っても前にいた世界に未練があるわけでもないので、最悪このままこの世界で一生を過ごすことになっても問題ないが。
ただそうなった場合、本格的にこの世界での身の振り方を考えなければならない。
どこか適当な島で降ろしてもらって、適当に働いて過ごしていくか?
ユーリの再生の能力を使えば、金には困らなさそうだ。
それとも海賊として、彼らが辿り着く先を見守るか。
そういえばルフィとシャンクスの再会も気になるし、戦いも気になる。
ならば、最悪でもその時までここでお世話になろう。
まだそんなことを言ってるのかと怒られそうだが、私は最初からこんな感じだったので大目に見て欲しい。
ユーリはある程度考えが纏まると、一息をついてシャンクスを見た。
会話が途切れてから特に話し出す気配はない。
ふと、酒を煽っていた彼と目があった。
「…考えは纏まったか?」
ニヤリと口元に笑みを浮かべている彼は、ユーリが何を考えているかある程度予想できているのだろうか。
そんな顔に出ていたのかと気まずくなったユーリは取り合えず頷いた。
「そうか」
シャンクスは酒瓶をテーブルに置くと、特に何も聞いてこなかった。
立ち上がったので部屋から出ていくのかと思い、彼の動向を視線で追った。